予防接種について

定期接種と任意接種

定期接種

予防接種法で、接種について努力義務が規定されたワクチンです。
接種費用については、接種対象年齢の範囲であれば、公費で負担されます。

任意接種

定期接種以外の予防接種で、ご家族の判断で接種を受けていただくのですが、病気を防ぐためには大切ですので、可能なかぎり受けてもらいたいものです。
接種費用は自費になります。

接種部位について

従来から行われてきたように腕(上腕外側部)に打つのが基本ですが、下記にお示ししますように、複数のワクチンを同時接種する場合は腕の負担を少なくするために、足も使用します。乳児期前半は接種するワクチンの数が多いため、当院においてはヒブと肺炎球菌ワクチンは足に打つのを原則としています。足の方が皮下組織も厚く、接種部位としては適していると思います。

足に打つ場合の接種部位

0歳のときに受ける予防接種

ロタウイルスワクチン(定期)

冬場に流行する胃腸炎の原因であるロタウイルスの感染を防ぐワクチンです。
胃腸炎の原因となるウイルスはたくさんありますが、ロタウイルスは感染力が強く、激しいおう吐や下痢、発熱をともない、乳幼児では脱水症状を起こすこともよくあります。また、けいれん、脳炎、脳症を合併することがあります。

ロタウイルスワクチンは経口接種(飲む)するワクチンで、生後6週から開始可能で、32週までに3回接種を完了する5価ワクチンと、24週までに2回接種を完了する1価ワクチンの2種類があります。
接種間隔は4週以上です。どちらのワクチンも初回は生後14週6日までに行うことが推奨されています。

ヒブワクチン(定期)

ヒブ(ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型:Hib)は脳を包む膜に感染し、細菌性髄膜炎という重症な感染症を起こすことがあります。ヒブワクチン導入前の日本では、年間約600人が、細菌性髄膜炎を発症し、後遺症を残すこともしばしばでした。ほとんどが生後3か月月から4歳までに発症するので、生後2か月からの接種が効果的です。

接種開始月齢によって接種回数が異なります。

小児肺炎球菌ワクチン(定期)

肺炎球菌もインフルエンザ菌と並んで子どもの細菌性髄膜炎や菌血症(細菌が血液中に侵入し、血流に乗って循環している状態。
細菌性髄膜炎などに進展することもある。)といった重症感染症の原因菌として知られています。
その他にも、肺炎や中耳炎など、日常診療で比較的頻度が高い重要な感染症の原因にもなります。

生後2か月からのヒブワクチンとの同時接種をお勧めします。 このワクチンも接種開始月齢によって接種回数が異なります。

4種混合ワクチン(定期)

ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4種類が混合されたワクチンです。
百日咳は乳児(特に生後3ヶ月未満)がかかると激しい咳以外に無呼吸、けいれん、脳症を併発することがあります。

近年、免疫が切れた成人の百日咳が増えており、感染源として問題になっています。 生後3か月になったら、出来るだけ早く受けましょう。 3~8週間あけて3回接種し、その後3回目の接種から約1年あけて追加接種をし、合計4回です。
ヒブ、肺炎球菌ワクチンとの同時接種がお勧めです。

BCGワクチン(定期)

結核菌によって引き起こされる結核を予防するワクチンです。
乳幼児が結核に感染すると、きわめて重症な粟粒(ぞくりゅう)結核や結核性髄膜炎を発症します。 多くは両親や祖父母からの感染です。

生後5か月~7か月に接種することが推奨されており、ヒブ・肺炎球菌・4種混合の接種を3回終了したら、なるべく早い時期にBCGを接種しましょう。 接種は1回のみです。

B型肝炎ワクチン(定期)

B型肝炎ウィルスの感染を予防するワクチンです。
B型肝炎には急性肝炎と慢性肝炎がありますが、低年齢のこどもほど慢性化しやすいといわれています。 慢性肝炎は成人になってから肝硬変、肝癌へと進展していくため、予防は重要です。

産道通過時に感染する母子感染のほか、輸血で感染することは昔から知られていましたが、原因が特定できない(輸血以外)こともあり、近年では感染者の涙、唾液、尿からも感染する可能性が指摘されています。
予防することの重要性が急速に高まっているワクチンであり、保育園に入園される予定があるお子様は、入園前に接種することをお勧めします。生後2か月から接種が可能で、3回の接種が必要です。

1歳以後で受ける予防接種

麻疹・風疹混合ワクチン(定期)

麻疹(はしか)ウィルス、風疹ウィルスの感染を予防するワクチンです。 麻疹は感染力が非常に強く、高熱が続き、全身に発疹が拡がります。
感染症としては重症な部類に属し、肺炎や脳炎などの重い合併症を引き起こしやすいので、確実に予防したいものです。

風疹は麻疹と類似した症状がみられますが、一般的には軽症です。
妊娠初期の女性がかかると先天風疹症候群という重度の障害をもった子どもが生まれることがあり、これを防ぐためにも予防は大切です。
1歳になったら、すぐに接種しましょう。就学前の年に2回目を接種します。

水痘ワクチン(定期)

水痘(みずぼうそう)は水痘帯状疱疹ウイルスの感染によって発症し、発熱とともに、かゆみのある赤い発疹が現れて水疱(水ぶくれ)になり、全身に広がります。
全ての水疱がかさぶたになるまで感染力は持続し、治癒までに約1週間かかります。
合併症としては髄膜炎、脳炎、急性小脳失調などがあります。

1歳を過ぎたら麻疹・風疹混合ワクチンと同時接種しましょう。
1回接種では効果が不十分ですので、3ヶ月以上の間隔をおいて2歳までに2回目を接種しましょう。

おたふくかぜワクチン(任意)

おたふくかぜは、ムンプスウィルスによる感染症で、発熱と両側または片側の耳下腺(時には顎下腺)の痛みを伴う腫れがみられます。
約5~7日間で自然に治癒しますが、髄膜炎、脳炎、難聴、精巣/卵巣炎、膵炎などの合併症が生じることがあります。 1歳を過ぎたら水痘ワクチンと同時接種がお勧めです。

確実な予防のためには2回接種が必要で、麻疹・風疹混合ワクチンの2回目(就学前の年)と同時接種が良いでしょう。

3歳以後で受ける予防接種

日本脳炎ワクチン(定期)

日本脳炎は、日本を含めアジア諸国で流行する病気です。
日本脳炎ウィルスを体内に保有しているコガタアカイエカという蚊に刺されることによって感染します。 感染しても症状が出ることは稀ですが、発症すると脳炎を起こすことがあります。 有効な治療法が無いので、予防接種によって感染しないようにすることが大切です。
3歳を過ぎたら1週間から4週間あけて2回接種し、その後、約1年後に追加接種をします。さらに9歳から12歳で1回接種し、合計4回の接種となります。

毎年受ける予防接種

インフルエンザワクチン(任意)

インフルエンザワクチンは、毎年流行するウィルスの型が異なりますので、毎年接種しなければなりません。

当院では10月上旬から年末にかけての接種を予定しており、例年9月中旬からインターネット予約を開始しています。 インフルエンザワクチンのみ、原則としてインターネット予約に限らさせていただいています。 予約開始時期についてはホームページや携帯サイトでお知らせいたします。

生後6か月から13歳未満は2回、13歳以上は1回(2回接種しても可、受験生など)。
2回接種の間隔は2~4週です。

重症な卵アレルギーのあるお子様はお勧めできませんが、重症でなければ多くは安全に接種できています。
不安に思われる場合は当日ご相談ください。

KNOW-VPD!VPDを知って、子どもを守ろう

当院を利用される皆様へ ~ワクチン同時接種の勧め~

欧米に比べ大きく後れをとっていた日本の予防接種行政は、ここ数年、かつてない大きな変革期を迎え、やっと先進諸国のレベルに達しつつあります。 ワクチンで予防可能な病気はできるかぎり予防に努めようという考え(予防医学)が世界的に浸透してきており、今後も新たなワクチンの開発が進むものと思われます。
小児医療に携わる者としては好ましいことだと思います。

日本で接種可能なワクチンは多数ありますが、それぞれ接種年齢、接種回数、接種間隔が決められており、免疫力の弱い乳児期に多くのワクチンが集中することから、それぞれ単独に接種していてはすべてを規定通りに終了させることは困難な状況です。 したがって、当院においても、海外においてはすでに標準化している同時接種を積極的に推し進めていこうと考えています。
同時接種の安全性は世界的に確立されたものであり、日本小児科学会でも平成23年1月に接種するワクチンの種類(組み合わせ)、本数によらず安全な医療行為であることを公式な声明として発表しています。

また、複数のワクチンを一度に接種して体に過剰な負担はかからないのかとの懸念もあるかと思いますが、人間のワクチンを受け入れて免疫を作り出す能力(抗原受容能力)は子供であっても底知れぬほど高いものですから心配にはおよびません。 よくよく考えれば、現行の4種混合は4種類のワクチンの混合製剤ですから1回の注射で4種類を同時接種しているに他なりません。
また、同時接種によってそれぞれのワクチンの副反応が増強することもありません。 そして何よりも大事なのは短期間で多種類の免疫が得られ、抵抗力のないこどもが早期に感染症から守られる(感染症は待ってくれません!)ということなのです。

注射を痛がる子供を見ているのはつらいものですが、単独接種であれ、同時接種であれ、注射を打つ本数の合計は同じですから、痛い思いをする回数は同じです。 むしろ同時接種のほうが痛い思いをした(痛い思いをさせた)日数を減らせるともいえるわけです。

皆様、どのようにお感じになられましたでしょうか?
もちろん同時接種は強制ではありませんのでご安心ください。

任意接種について

日本の予防接種には定期接種(無料)と任意接種(有料)がありますが、諸外国では任意接種はなく、すべて公費で受けられる定期接種のみです(つまりワクチンに定期とか任意とかいう言葉上の区別がありません)。 この点がまだ日本が後れをとっている部分だと感じます。
任意というと接種してもしなくてもよいと受け取られてしまうことが大きな問題です。

水痘では、脳炎、髄膜炎、小脳失調、おたふくでは難聴、髄膜炎、膵炎などが合併症として知られていますが、25年も小児科医をやっているとこれらは決して稀ではないことを実感しています。
このような合併症はワクチンの副反応より頻度が高く、はるかに重篤であることはいうまでもありません。

水痘ワクチンが平成26年10月から1~2歳を対象に定期接種となりましたが、対象外の年齢でも任意接種として受けていただければと思います。
今後、任意接種は順次、定期接種に移行すると思われますが、その時期は不透明ですので、可能な限り任意接種も受けてもらいたいものです。

クリニック概要

青い鳥こどもクリニック

院長
引田 満 (日本小児科学会専門医)
所在地
〒273-0106
千葉県鎌ヶ谷市南鎌ケ谷1-5-24
駐車場(18台)有り
電話
047-441-5457
最寄駅
新京成電鉄鎌ヶ谷大仏駅
船橋新京成バス(二和道経由船橋駅北口行)
鎌ヶ谷バス停下車
診療時間
  日祝
一般診療
9:00 ~ 12:00
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健診・予防接種
14:00 ~ 15:00
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一般診療
15:30 ~ 18:30
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▲:第2・4週はアレルギー外来(完全予約制)
  火曜午後は一般診療休診
休診日:木曜・日曜・祝日
健診・予防接種:ネット予約

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